2014年01月07日

「曾祖父を送る空手演武」

 12月31日の琉球新報に私のエッセイが掲載されました。2年生の桑江泰旭君がひいおじいさんを空手演武で送った心温まるお話です。

      「曾祖父を送る空手演武」
 出棺を待つひいおじいさんのひつぎ。私の〝小さな空手の弟子〟8歳の泰旭君は、天国へ旅立つひいおじいさんのひつぎの前で一心に空手を演武し、送りました。
 ナイハンチと普及型。彼の小さな胸は、大好きなひいおじいさんと別れなければならない悲しみで、つぶれてしまいそうだったでしょう。でも彼は、少しも間違えず、型を二つも演じきったのです。「もう二度とぼくの演武を見てもらえない」。そんな思いを演武の一振り一振りに込めて。
 泰旭君のひいおじいさんは、96歳の天寿を全うされたとのこと。私はその日のことをおばあさまのメールで拝見し、とても胸を打たれた。「葬送の演武」とでも言おうか。そこには8歳の彼が悲しみの中で見せた曾祖父への深い思いと凛とした行動があった。私は、この〝小さな弟子〟をとても誇らしく思う。
 彼が私の、ささやかな道場の門をくぐってからわずか1年余り。初めは「エイッ」の気合さえもうまくできなかった。それが、こんなにもたくましく、思いやり深い少年へ成長したのだ。休日には、養老ホームにひいおじいさんを訪ね、演武でお見舞いすることを続けていた。他のお年寄り達も彼の空手演武が楽しみであった。
 稽古熱心な泰旭君。帯の色も白からピンク、青へと上がっていく。彼は、天国のひいおじいさんに見守られ、どんどん大きくなっていく。預かる身の私も心が引き締まる、道場の日々です。



Posted by キッズ空手教室 at 00:26│Comments(0)
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